柔術白帯時代に初めて試合に出てみた話
今でこそ青帯の私ですが
2017年に開催されたアブダビ・ グランドスラム柔術大会- 東京という大会に人生で初めて出てみました。
結果としてはボロボロに負けたけど
大会に出てよかったなと思えたので
その時の体験談や「もっとこうすれば良かった」というのを書いてみたいと思います。
初めて柔術の試合に出る人の参考になれば幸いです。
柔術の試合のクラス分けとは
大きく分けて3つのクラス分けがあります。
年齢・体重・帯 で分かれます
カテゴリ分けはこんな感じ
アダルト 18歳 – 29歳
マスター1 30歳 – 35歳
マスター2 36歳 – 40歳
マスター3 41歳 – 45歳
マスター4 46歳 – 50歳
マスター5 51歳 – 55歳
マスター6 56歳以上
57.5kg以下 ルースター級 (Rooster)
64.0kg以下 ライトフェザー級 (Light-Feather)
70.0kg以下 フェザー級 (Feather)
76.0kg以下 ライト級 (Light)
82.3kg以下 ミドル級 (Middle)
88.3kg以下 ミディアムヘビー級 (Medium-Heavy)
94.3kg以下 ヘビー級 (Heavy)
100.5kg以下 スーパーヘビー級 (Super-Heavy)
100.6kg以上 ウルトラヘビー級 (Ultra-Heavy)
無差別 オープンクラス級 (Open-class)
白帯
青帯
紫帯
茶帯
黒帯
こんな具合に細かく分かれますね。
僕の場合、「32歳、66kg、白帯」 だったので
- マスター1、フェザー級、白帯
というカテゴリに分けられ、マッチした対戦相手と戦うことになります。
対戦相手の少ないカテゴリでは1回勝つだけで優勝という現象が起こります。
白帯だけでも体重別に10種類×年齢7種類だから、最大70人の優勝者が出ますね。
さらに、帯で分けたら×5種類なので、
10×7×5=350
最大350人のチャンピオンが生まれます。
女性も含めると×2なので、
机の計算上では
一回の大会で最大700人のチャンピオンが出ますね。
出すぎぃぃぃぃぃ!!
とまあ、それはおいといて、実際は似たり寄ったりの体重や年齢で集まるのでこんなに優勝者は出ないです。
試合前の反省点を振り返る
振り返ってみれば反省点はたくさんたくさんあります。
一言でいえば
なめてた。
というのが最大の反省点です。すみません。
失敗その1、本気の練習期間が足りなかった
どうせなら勝ちたいと思い試合前の2か月は練習に多く出ました。
とはいえ、月に10回くらいのペース。
でも僕的には、それまで月4回しか行ってなかったので、2倍以上に練習量が増えたことになります。
具体的には、投げられたら痛いし嫌だなと思い、引き込みの練習をたくさんしました。
あとはポイントの加算システムを勉強したり、どうやったら負けないかを研究しました。
パスガード3点。
マウント・バックコントロール4点。
「まあポイントとか気にせず、とにかく一本取ればいいんでしょ、勝てばいい。へーきへーき」
という超楽観的な気分でやっていたのが最大の反省点です。
アホかと突っ込みを入れたくなりますね。しかし初めての試合だったので全く何をしたらよいか分かりませんでした。
失敗その2、減量すれば良かった
当時の体重は64kgなんですよ。
柔術の道着が2キロくらいあるので、合せて66kg。
だから66kgならフェザー級(70kg以下)でいいや。
余裕だ余裕!なんて思ってましたね。
これが本当に大失敗。多くの人に、「減量した方が良いよ」と言われていたにも関わらず
空手時代の辛い減量がフラッシュバックして「減量したくない」という謎の壁が立ちふさがりました。
超絶言い訳だらけで、キャンプ行ったりサーフィンの大会もあるしなーという気持ちで全く減量しませんでした。
頑張って3キロ痩せるだけで勝率がぐんと上がったのに、過去の自分に喝を入れに行きたいです。
経験上、3キロなんて前日から水を一切飲まなければ余裕で落ちます。
なので、全力で減量して勝利を目指しに行きましょう。
失敗その3、スケジュール確認しなかった
「試合って何時に集合すれば良いんですか?」
と道場の先輩に聞いたら
「お前は朝5時に会場行って芝刈りしてろ」
と言われたので、とりあえず計量時間の9時に間に合うように行きました。
実際は僕の試合は夕方5時からだったんですね。
なので朝9時に計量をして、夕方5時までひたすら待っている状態でした。
どうせ暇なら任天堂スイッチ持っていけばよかったぁぁぁ!
待機でひたすら体力を消耗したので、試合の2時間前くらいにひょっこり行くのが良いかもしれません。
試合時間の目安もウェブサイトにきちんと書いてあったので、確認しなかった僕の失敗です。
柔術大会、当日の流れ
試合会場に着いたら、周りは強そうな人ばかり。
「前に並んでる人は俺と当たりませんように」、「うわぁ、この人絶対強すぎる人じゃないか」と思いながら計量をしました。
計量結果は余裕の66kg。たった2キロの減量をさぼったツケは試合に出ます。これは後述。
会場は強そうな人がたくさんいたけど、道場の仲間がいて心強かったです。
試合は黒帯の人から始まって、有名選手もたくさん出ていました。
道場の先輩が「あの選手は○○さん、あっちは○○さん」と教えてくれました。
大きいモニターも用意されて見やすかった。
とはいえ、さすがに夕方5時までは暇だったので、会場周辺をぶらぶらしたり
隣でやってる恐竜展を覗いたりしました。
ゲームが好きな人ならニンテンドースイッチ等を持っていくと良いかもしれません。
試合当日もきちんと柔術の技を復習して、全力待機で試合を待ちましょう。
さて、試合体験に続きます。
初の柔術試合、対戦相手強すぎ
結果から言うと初の柔術の試合は11-2で負けました。
試合前に対戦相手に、「実は初めての試合です。よろしくお願いします」と挨拶をしました。
「私も柔術の試合は始めてです。MMA(総合格闘技)は何回も出てますけど」と言われて
いやまじこんなの絶対俺勝てないじゃん。て思いました。
初試合の緊張感
しかし、初めての試合って緊張しますね。
マットの前に立つととにかく緊張。
今まで見ていたマットの上に俺来たんだなーと思うと余計に緊張。
自分の頬をバチバチ叩いて、緊張をほぐそうとするも全くほぐれませんでした。
緊張のまま試合は始まります。
初めての試合開始、コンバッチ!
試合開始と同時に、両足タックルを受けてテイクダウンされ、速攻でパスガードからのサイドポジションを奪われました。
テイクダウンで2点、パスガードで3点。
この時点で20秒しか経っていないのに、感覚的には30分くらい戦ってる感じがします。
がっちりサイドポジションで抑えられて全く動けない状態。
あー強いなこの人、もっとしっかり練習しておけばよかった。と思った瞬間に一瞬意識が飛びました。
水の中に沈んでいく感覚がありました。
頭の中でこんなことを考えたのを強く覚えています。
臨死体験と幻覚
~~~~~~~~~~~~~
この試合長い、とにかく長い。めっちゃ苦しい。
僕の名前を呼ぶ声が遠くから聞こえる。
幻聴かも知れない。俺の名前は武田じゃない。
なんだこの戦いは。俺は何をやってるんだ。こいつは誰だ。苦しい。
すぐ横でインドで見た野良犬が僕を見つめている!!
そうか、ガンジス川、メコン川、文明は川沿いで発達していくんだよな。
第三者の視点で自分を見れるのを何ていうんだっけな。
鳥瞰、俯瞰、Third eye 違うな、もっと高いところから見た方が良いな。
宇宙規模で地球を見下ろした時に、僕の先祖は何人こうやって苦しんで死んだのだろう。
苦しい。動けない。
死だけが唯一、遺伝子で引き継げないのだ。
だから人間は恐怖を覚えるのさ。そうだったな。大事なことを忘れるところだった
苦しい。
いや、、待てよ。
俺はいま柔術の試合に出ているんだ!!
!!!!!!!
よし、クローズガードに戻そう。
そうだ、ブリッジしてエビだ。教わったやつをやればいいだけだ。
~~~~~~~~
なんとかエビしてクローズガードに戻すことに成功。
時計を見るとこの時点で3分が経過している。スコアは無残にも相手に5点も入っている。苦しい。
相手がガードを割ろうとしている一瞬のスキをつき、こちらのスイープに成功。
2点入った。もう試合は終わりでいいよ、辞めようと心の声が聞こえる。
そんな邪念を打ち消すように、相手は圧倒的な力で僕をもう一度スイープして一瞬でサイドポジションに移動する。
終わった、こんどこそ終わった。スコアは10点を示している。
試合時間は残り1分。強い、重い、苦しい。
最後の力を振り絞り、ブリッジ、エビでガードポジションに戻す。
ここで審判がストップを掛けた。終わった。
僕の試合は終わった。
・・・
・・・・・・・
と思いきや、終わっていなかった。
理由は不明だ。
中途半端なガードポジションからまた試合は再開された。
最後の望み、三角締め
息は絶え絶えだ。もう動けない。体が痛い。肋骨の周りがじわじわ苦しい。
「三角気を付けろ!」という声がマットに届く。
また意識が遠のいていく。
~~~~~~~~~~
三角、、?三角ってなんだっけ?
犬?インドの野良犬の名前?
あ、、、
三角締めのことか。
~~~~~~~~~~~~~~~~
僕の膝と、相手の腕が絶好の位置にある。
ああ、三角絞めを掛けるのは俺か。
意識が朦朧とする。最後のチャンスだ。
腰を上げて、脚を首に絡め渾身の力を込めて相手を挟む。
試合時間は残り10秒。
首に掛けた右脚と、後頭部を最大限の力で引っ張る。
タップしろ、早くタップしろ、早くタップしろ。
お前がタップしないと俺の脚が折れるんだよ。
・・・
終了のブザーが鳴り響く。
審判は相手の腕を上げて勝利を宣言する。
呆然としたまま、マットの上で相手と握手して健闘を称えあう。
絶え絶えの息で「またどこかで試合しましょう」と会話を交わす。
足を引きづりながら、控え所で倒れて天井を見上げる。
ああ、やはり試合はいいなと朦朧とした意識で考える。
こんな経験は格闘技以外できない、すごい体験ができた。
俺は生きているぞ
もし、この感覚を味わえないのだったら、誰が格闘技なんてやるんだろう。
そんな初体験の試合の体験談。
まとめ、負けたけど試合に出てよかった
試合には完全に負けました。
でも
試合出てよかったです。
試合に出て変わったこと
試合体験後は自分を客観的に分析できるようになりました。結果的に
「なぜこの人は強いのか」
「この人と、この人の違いは何か」
「この人と、自分との違いは何か」
こういった点に着目して練習できるようになりました。
また、柔術というスポーツに一層興味が湧き、練習も楽しくなり
5か月後に念願であった青帯も巻くことができました。
柔術との付き合い方が、たったの1試合でガラリと変わりました。
初心者こそ試合に出よう
初心者の人こそ試合に出ることをお勧めします。
自分の実力を客観視できるというメリットがありますし、白帯なら1勝できる可能性は十分にあります。
初対面の相手と全力で戦うなんてことは格闘技以外ではありえません。
ものすごく素敵な世界です。
1試合で、あなたの世界が大きく変わる可能性もありますよ。
勇気をもって、柔術の大会に出てみるのも、一つの楽しい付き合い方ですよ。
私はなぜか臨死体験をしました。でも普通の人ならそんなことはないと思います。
安心してください。勝っても負けても楽しいですよ。
それでは!
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