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ドキュメント宇宙飛行士選抜試験の読書感想:宇宙飛行士の素質とは決してあきらめずに他人を思いやる人間力

 

「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」を読みました。読書感想文を書きます。

 

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ここまでやる人はあまりいないので、割とオススメなライフハックです。

 

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さて、ドキュメント宇宙飛行士の読書感想を書いていきます。

ドキュメント宇宙飛行士の読書感想

2008年2月、日本で10年ぶりとなる宇宙飛行士の募集が、日本の宇宙研究・開発を担うJAXAによって発表された。応募総数は史上最多。そして、選抜試験自体も最難関で熾烈を極めるものとなった。本書は、この選抜試験の取材を日本で初めて許され、さらに候補者10人に絞られた最終試験では一部始終に密着することに成功した、NHKの番組スタッフによるドキュメンタリー。その10人がおかれた閉鎖環境という特殊な状況下で、彼らは何を考え、語り、行動したのかをつぶさに追ってゆく。宇宙という極限の環境において自らの命を賭け、かつ他の乗組員の命をも預かる宇宙飛行士とはどういう職業なのか。その資質と人間力に迫る。

宇宙飛行士を夢見る大きな子供達

全世界中の人たちが一度は憧れる職業といえば宇宙飛行士だろう。

空を見上げて、星を数え、遠く遠く離れた宇宙を想像する。

真っ黒な空に吸い込まれそうな感覚を覚えながら、宇宙服を着て遊泳する自分を描いてみる。

 

時が流れるに連れ人は成長し、いつしか星を見る機会なんて減っていき「まあ、こんなもんか」なんて思いに支配されてしまうのが人間の常なのかもしれない。

 

しかし、2008年にJAXAで行われた10年ぶりの宇宙飛行士選抜試験に応募してきたのは、963名の「夢を見続けた大人たち」だった。

 

宇宙飛行士に応募できる条件はこうだ。

「自然科学系の大学を卒業し、実務経験が3年以上あること」

 

応募者は多種多様に渡る。ロケット開発に携わる技術者、飛行機のパイロット、医師、最先端の研究に勤しむ科学者。

共通していたのは、どんなに年を取っても「宇宙に行きたい」という幼い頃からの夢をあきらめられない者たちだったことだ。

 

宇宙飛行士は大きなリスクを伴う職業だ。

まず、宇宙開発において事故は実際になんども起きている。過去を振り返ってみればスペースシャトルは132回の打ち上げで2回事故を起こしている。スペースシャトルで事故が起きる確率は1/66という高確率で事故が起これば必ず死亡する。

事故だけのリスクだけでなく、1度合格してしまえばヒューストンへの引っ越しで環境は変わる。

また、あくまでJAXAの職員への転職という形になるので、収入面で大きく下がる者も大多数だ。

 

しかし、そんなリスクを受け入れた先に宇宙飛行士という職業が待っているのは、候補者たちは十も承知だ。

 

宇宙飛行士になるための素質とは

宇宙飛行士の素質をあえて短い言葉で表現するならこうなるだろう。

「どんなに苦しい局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、その言葉と行動で人を動かす力があるかどうか」

 

JAXAの定義する宇宙飛行士に求める素質とは以下である。

・ストレスに耐える力

・リーダーシップとフォロワーシップ

・チームを盛り上げるユーモア

・危機を乗り越える力

ストレスに耐える力

宇宙空間は閉鎖された環境であり、常に一つのミスで多くの損害を発生させてしまう場合がある。

船外と船内を繋ぐバルブ一つの締め方だって定められた手順があり、間違えると即真空の宇宙空間に晒されてしまい船全体が危機状況に陥る。

一つのミスで全員が死ぬという極度の緊張感に耐え、ミッションを完遂するストレス耐性が宇宙飛行士には求められる。

 

リーダーシップとフォロワーシップ

宇宙飛行士に与えられたミッションは絶対に一人では完遂できない。ミッションごとにリーダーを変えて、定められた成果を出し続けるためのリーダーシップや、リーダーをフォローするためのフォロワーシップも求められる。

宇宙空間では何が起きるか分からない。その時必要なのは想定外に対応ができる協力体制と、それに対応するための柔軟なリーダーシップ/フォロワーシップの切替だろう。

私は、リーダーシップというのは一人が持てばいいという物ではないと思う。誰もがリーダーシップを習得することで、柔軟にリーダーにもフォロワーにもなれると思っている。目標達成のために何をするべきかを瞬時に捉える能力こそが宇宙飛行士でも、人生においての局面でもどこでも役にたつ能力だと思っている。

チームを盛り上げるユーモア

チームを盛り上げるためのユーモアも宇宙飛行士には求められる。

何日も何日も国際宇宙ステーションで過ごす宇宙飛行士の住環境は過酷だ。換気扇の騒音、多国籍メンバーによる文化・習慣の違い、狭い環境でのプライバシーの欠如、そしてシャワーのない船内の臭気。

帰還したシャトルのハッチを地上の整備員が開けるときの臭いは「鼻が曲がるほど」だという。

そんな中で必要になるのはユーモアだ。人間は悪いスパイラルに入るとどんどん悪い方向に考えてしまう性質がある。

ユーモアとは人間の生活の中ににじみ出る矛盾やおかしさを、寛大な態度で笑い飛ばして楽しんでしまうという側面もある。

宇宙飛行士は悩んでるだけではダメなのだ。

 

危機を乗り越える力

最後は危機を乗り越える力だ。

これを発揮するときに必要なのは「折れない心」だ。これを象徴する事故が”アポロ13号”で発生した。

ケーブルによるショートで酸素を供給する機械が損傷したアポロ13号。乗組員の3人は絶体絶命の危機に陥ってしまう。

ヒューストンに助けを求めるが、解決するには現地の3人の作業が必要不可欠だ。当時は文書によるコミュニケーションはできなかったので、ヒューストンの口頭で読み上げる二時間にも及ぶ作業マニュアルを宇宙飛行士は復唱しながら必死に暗記していく。

暖房の調節も効かず、作業環境は0度に近い極限状態で宇宙飛行士は寝ることもできずに問題に一つ一つ対処していく。

「Failure is not an option」(失敗に終わるというのは、我々に許された選択肢ではない。)

 

音速の十数倍という超高速で大気圏に突入した船は空気とぶつかりあい火の玉のように燃え上がった。

固唾を飲む管制チーム、良好でない通信状況から船長の通信を受信したときに管制チームは船員の生存を確認し、大きな歓声が上がった。

絶対にあきらめない「折れない心」がアポロ13の危機を救ったと断言ができる。

 

すなわち、宇宙飛行士の素質とは結局のところ人間力なんだなと思う。

 

本を読んで私はどう変わったか

宇宙飛行士選抜試験に受かるために候補者たちの取った「ありのままの自分をさらけ出し、挑戦をし続ける」という態度に甚く感銘を覚えた。

私も大人になり、子供の頃の情熱や夢を忘れかけていたときだったのかもしれない。しかし、やはりまだまだ若くいたいものである。

何かを成し遂げるには必ずチャレンジが必要だ。しかし、現在の私には目指すべき1等星が見つかっていない状態でもあることを告白したい。

まずは空を見上げ、あの頃の情熱を忘れないようにしていきたいと思う。

 

人間の本質とは、つまりは人間力だ。

どんなに苦しい局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、その言葉と行動で人を動かす力があるかどうか」

 

 

宇宙飛行士からそんなことを学んだ。この本に出会えたことに感謝したい。

地球より、愛を込めて。